クロアチア・スロベニアを経てギリシャのメテオラ、アテネを巡った一人旅も、日本から来た母と妹を加えて賑やかな3人旅に。スタイルアドバイザーとしてIGや雑誌、ウェブコンテンツを中心に独自のコーデ術を発信する妹(IGID:miho0319kawahito)による旅に合うファッションコーデと、私の旅プロデュースとの姉妹コラボも今回のテーマの一つ。そしてこれからは、毎回旅気分が盛り上がるキャッチ―な曲も同時にご紹介。夢のように美しいギリシャの絶景と共に、ぜひぜひお楽しみ下さい!【旅行時期:3月末~4月上旬】※iphoneの方は記事を読みながら同時にyoutubeを開けないですが、好きなタイミングで聴いてみてください。
メリッサニ洞窟を発った頃には、すでに13時をまわっていた。
あまりの絶景に感動しお腹など空いている暇はなかったが、スピロスさんにも休憩してもらわなければならない。
オフシーズンは島全体を通して営業している店は多くない。近くの漁村にスピロスさんの友人がやっているカフェバーがあるというのでそこでランチにすることにした。
名も無い漁村にあるその小さな一軒家はガレージを改装した簡単なカフェバーになっていて、中では女主人とその友人たちが何やら話込んでいた。
スピロスさんが挨拶すると、「あらスピロスじゃない。こんな時間に一体どうしたの?うちは今、ホットサンドにフレンチフライ、それにコーヒー、冷たいドリンクならあるわよ。」と女主人が親しげに話かけてきた。
「この時期、島にいる者は全員知り合いさ。」そういって片目をつむってみせた陽気なスピロスさんは、早くも腰を落ち着けて友人とお喋りを始めている。
私たちは、ホットサンドとフレンチフライ、そしてキンキンに冷えたコーラでランチにすることにした。
小さな漁村ではあるが、目の前にはここにもブルーの港があり、心地よい海風が吹き込んでくる。
再び車に乗ると、スピロスさんが見せたい景色があるという。車はあっという間に高台へと上って行く。
降りた所は、野花の咲く丘の上。つい先ほどまでいた小さな漁村が眼下にブルーの港を擁し、吹き上げてくる爽やかな海風が髪を乱す。
4月5月のこの時期は、ギリシャでは各地で野花が楽しめる。
斜面の緑に映える素朴な白い花がとても綺麗で、スピロスさんがそれを摘んで私たちにプレゼントしてくれた。
女性というのものはいつだって、花を贈られると嬉しいものだ。なんだかホッコリした気持ちになって、次の目的地へと向かった。
とうとう、島の北端にあるフィスカルドという港町へやってきた。
港町、フィスカルドは近年ハリウッドセレブたちの間で人気のマリンリゾート。シーズンになると港には大小様々なプライベートクルーザーが停泊し、港沿いのカフェやタベルナは人で賑わう。
停泊するヨットや漁船、そして透明度の高い海のある港町の風景は情緒たっぷり。
ただし、欧米の観光客に絶大な人気を誇る夏のフィスカルドは写真をゆっくり撮ったりくつろいだりするには少々人が多すぎる。
ところがシーズンオフのフィスカルドは、店の殆どがクローズとなる代わりに港町本来の姿に戻り、思う存分ゆったりと写真を撮ったり散策することができる。
フィスカルドも日本ではほぼ情報が無く、現地のサイトも欧米客の夏のバカンスに合わせ、当然のごとく夏のシーズン中のことしか書いていないのでイマイチ情報が無いままここへ来た。
これを機会に、本格的なハイシーズンを迎える少し前(4月5月のミドルシーズン)の様子をお伝えできればと思う。これ以前になるとイオニア海やエーゲ海の島の場合は天候が不安定となり、島旅の醍醐味である輝く太陽と海を見られない可能性が高くなるのでおススメできない。
ほぼ観光で成り立っているようなヨーロッパの小さな村や街では、シーズンのオンとオフの境目が非常にはっきりしている。オフになれば、昨日までいた客はパタリと消え、店も嘘のように軒並みクローズ、ということになる。
これは一長一短で、ショップやレストラン、カフェを巡って買物や食事を楽しむにはオンシーズンが良い。ただし、皆そこを狙って押しかけるわけなので、至る所に列ができたり小路も裏路地も観光客で溢れかえる。
情緒という点ではオフシーズンが格段に良い。美しい街や村本来の姿を見てみたい、観光客の写り込まない良い写真を撮りたい、そして割と短い滞在で良いという場合はおススメだ。
一番良いのは、オンとオフの絶妙な境目を狙うことだ。今回ならば6月から夏のシーズンなのでその直前、4月か5月が良い。気候も安定し晴天が続くうえ人はまだ少なく、店は運がよければちらほら開いている、という状態。
以前、南西フランスの人口80人未満の村を訪ねた時にも同じことを思った。
今回のフィスカルドもそれはだいたい予想していたので、ここでは静かな港町本来の風景、そして色とりどりのカラフルな街並をまるで撮影セットのように使い、好きなだけ写真を撮るという目的にしていた。
ここでも船のメンテナンスは住民たちの大事な仕事。腕まくりをして船の修理に精を出す男たちの姿を見られるのも、この時期ならではだ。
ボートも今は一休みの時期。
前回少しだけ紹介したが、本日のファッションはイオニア海の青をイメージしたマリンルック、そしてフィスカルドのポップカラーな家々に合うカラフルスタイルがテーマ。赤やストライプ、ボーダーは青い海との相性抜群。
妹は、ボーダーのトップスに、イオニア海に合わせた明るいブルーのスカーフをポイントにしたカジュアルマリン。スカートにすることで、カジュアル過ぎないリゾート感を狙う。
私はモノトーンがベースのモードなマリン。白を取り入れることで、港町にマッチする爽やかさも演出できる。
母は、白いクルーザーや青い海の風景にも映える赤に、リンクカラーのスカーフでエレガントさをプラスしたマリンスタイル。
フィスカルドの家々は色に溢れていた。
木漏れ日の下の石段には、港からの風が通り抜ける。
高台へ続いていく階段には植物が青々と茂り生命力を感じる。
観光客のいない今は小さな町ををまるごと貸切り、ときおり窓から顔を見せる地元民に挨拶しながら、雑誌の撮影の如く写真を撮り放題。
スピロスさんもパステルカラーの家々になかなかマッチしている。
期待通りだった港町をあとにすると、最後の目的地へと車を走らせる。
最後は、ケファロニアいち美しいと言われるビーチだ。
ミルトスビーチは、ニコラス・ケイジ主演の「コレリ大尉のマンドリン」に出てきたビーチとしても有名で、何よりその透明度と不思議に輝くブルーのまばゆさに定評がある。
上から眺めると、まるで蛍光色のインクを流したかのよう。
ハイシーズンならば海岸までの道は大型バスが長蛇列を作り、ビーチも人でいっぱいになる。そうなるとビーチまで下るのはなかなか難しい。
このミルトスビーチはガイドブックにも上から眺めている写真ばかりで、様々なブログにもビーチへ下ったという話はあまり書かれていない。
ここもサービス精神旺盛なスピロスさんのこと。
今なら車でビーチまで下ってあげるよ!と、なんと海岸まで連れて行ってくれたのだ。
降りてみると更に、目の前のブルーのまばゆさに目を奪われる。
ほんの数人が泳いでいるだけで、まるで誰も知らない隠れ家ビーチに迷い込んだかのようだ。
ザバーンザバーンと、繰り返し打ち寄せる波の音。浜は白く、よくみると砂ではなく石が多い。
背後には絶壁が迫り、粗削りの大自然にぽつんと抱かれる私たち。
ミルトスビーチへ行くのなら、シーズンを外すか、早朝に訪れてぜひともこのビーチを独り占めしたい。
これにて、ケファロニア島の予定していた見所を全て回ったことになる。
期待以上の働きをしてくれたスピロスさん。
最後の最後まで、ここは写真がキレイだ、景色は素晴らしいのはここだ、と地図を指さしながらいろいろと説明してくれる。
彼は若い頃ヨーロッパ本土で観光バスのドライバーをしていて、その後アメリカのノースカロライナでギリシャ料理のレストラン経営をしていたのだとか。
年をとり孫もできた今、生まれ故郷のケファロニア島に帰り気楽に個人タクシーの運転手をしているとのこと。
なんだかとても今朝出会ったばかりの人とは思えない。
アルゴストリの街を対岸に眺められる場所まで帰ってきた。そろそろ日の光も夕方の香りを帯び始めてきた頃、なんだか少し寂しくなる。
明日の朝も港までどうせタクシーだ。ふと、それなら翌朝もスピロスさんに送迎をお願いしようと思い立った。
明日の約束を取り付け、今日の分のタクシー代を聞いてびっくり。
ケファロニアのタクシーはチャーターした場合一時間35~40€が相場だ。
しかし、スピロスさんが提示した金額は、一時間あたり30€をきっていた。合計7時間、ちょうど200€で良いという。
海外のタクシーで、相場以下の金額を積極的に申し出てくるケースにはほとんど出会ったことがない。
しかも、代金は明日の送迎後にまとめて払ってくれれば良いとのこと。もし代金を踏み倒されたら・・そんなことは考えないのである。
今朝出会ったばかりのいち観光客だが、こうして信頼されていると感じるのは単純に嬉しいし、ついつい用心しがちな海外タクシーで、こちらも現地の人を素直に信頼できるというのは旅の良き思い出を倍増させる。
明日の約束時間を告げて、楽しいケファロニア島一周ツアーは終了した。
そのままホテルから徒歩すぐにある、スピロスさんにおススメされていた地中海料理のタベルナ、The Captain's Table へ。
ここでもギリシャ料理の代表的なものを頼んでみることにする。
ザジキはプレーンなヨーグルトに、ピューレかみじん切りにしたきゅうりを加え、にんにく、オリーブオイルや塩コショウで合えたもので、すごくあっさりしたクリームチーズかタルタルソースのよう。パンにつけて食べるとなかなか美味だ。
海老のサガナキは、豪快な殻つき海老をトマトソースやオリーブオイル、そしてチーズで煮込んだ料理。海老のエキスが余すことなくソースに沁み出し深いコクのある逸品だ。
定番のカラマリはカラッと揚がって間違いないし、きのこのリゾットも優しい味わいで美味しかった。
ルクマデスと呼ばれるギリシャの揚げドーナツは、ポンデリングのようなもちもち食感。ハチミツとシナモンの味が最高に合っていた。
一日遊び倒した今日は、満足感でいっぱいだ。