以前働いていた会社のツアーに両親が参加してきました。添乗をしたことのあるツアーとほぼ同日程なので今回は2人が旅したチェコ、スロバキア、ハンガリーの旅行記を代筆します。【旅行時期:10月初旬】
朝ホテルを出ると、「ハンガリーの海」とも云われるバラトン湖が変わらぬ姿で眼前に広がっていた。
ハンガリー随一のリゾート地であるバラトン湖は、夏になるとバカンス客で賑わう。湖畔に吹く風が心地良い。
朝の散歩を終えると、バスは新たな目的地へと向かう。
本日最初に向かったのは、世界的に有名なハンガリーの陶磁器ブランド、ヘレンドの工房だ。
街から少し離れた小さな村里に、その本社及び工房があった。
門前では、早速ヘレンド製の巨大なライオンが出迎えてくれる。
ヘレンド本社で働くスタッフは総勢1700人。全員が厳しい基準をクリアした精鋭たちだ。
また、ヘレンド社の株主のほとんどは工房で働く職人であり、そういった面でも製品の質が保たれているという。
全てが伝統的な技法による気の遠くなるような手作業の賜物。
工房には、カフェ・レストランが併設されている。工房見学を終えたら、優雅にコーヒータイムといきたい。
ヘレンド製のカップで頂く珈琲はまた格別であり、この一杯に職人たちの思いが込められているように感じる。
続いてバスは、ハンガリーにおけるキリスト教布教の始点となった地パンノンハルマへと向かった。
ブダペストから西へおよそ100キロ、辺りは長閑な田舎の風景が続く。
ふと見上げると、ブドウ畑に囲まれるようにして小高い丘があった。
丘のてっぺんには、世界遺産パンノンハルマ修道院が聳えている。
世界で最も古いベネディクト会修道院である。
ベネディクト会とは、カトリックにおける現存する最古の修道会。
彼らの戒律である「清貧、純潔、服従」というイメージ通りの、簡素かつ清らかで静謐な修道院内部。約千年の歴史をもつといわれている。
更なる見所は、併設された古文書館にあった。
なんと実に36万冊の書物を収容するとされるこの古文書館は、足を踏み入れたものを圧倒する。
修道院は信仰の場であるとともに学問の場にもなった。ハンガリー教育史はまさにここから始まったのである。
さて、ハンガリーとはここでお別れだ。ここからは中欧の美しき小国、スロバキアへ入って行く。
首都ブラチスラヴァはドナウ川の両岸にできた美しい街で、ブラチスラヴァ城の高台から対岸を見下ろすと、新市街の様子がよく見える。
かつてはハンガリー王国の一部でもあり、ハプスブルク家とも切っても切れない関係にあったブラチスラヴァ。本日の最終目的地はこの街だ。
新市街を見下ろす位置にあるブラチスラヴァ城。
あのマリアテレジアも好んでここを居城としたという。
旧市街に足を向けよう。あまり日本人には馴染みの無い街かもしれないが、実は古き良きヨーロッパの姿が美しく保存された、小さいけれどそぞろ歩きの楽しい街なのである。
旧市街の中心には適度な広さのフラヴネー広場がある。明るい色使いの壮麗な建物が並び、老舗のカフェが軒を連ねる。
Cafe Mayerは広場の中でも一番の老舗。
Kaffee Mayer - U nás nájdete všetko pre milovníkov skvelej kávy a sladkého pokušenia.
ブラチスラヴァは、気の赴くままに歩くのが良い。
何気なく石畳の路地に入りアーチを潜ると、素敵なオープンカフェがあったりする。
ふと視線を上げた先に、思いもしない美しい風景を見つけることも。
この街は、あちらこちらにアーチかあって、それがまた良い味を出している。
ブダペストほど大規模でなく華やかさも劣る。しかしどこかホッとする、そんな街角なのである。
ブラチスラヴァは、少し変わったストリートアートでも有名だ。
古い石畳のあちこちに、リアルなおじさんが見え隠れする。
この古い街には、現代アートさえもが不思議と調和してしまう。
今宵は、石畳の似合う古くて優しいこの街で、旅の疲れを癒やすとしよう。