元添乗員の国外逃亡旅行記

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ファッションで巡るギリシャ 色彩溢れる海の風景を訪ねて ⑥ ~サントリーニ島Ⅱ~

クロアチアスロベニアを経てギリシャのメテオラ、アテネを巡った一人旅も、日本から来た母と妹を加えて賑やかな3人旅に。スタイルアドバイザーとしてIGや雑誌、ウェブコンテンツを中心に独自のコーデ術を発信する妹(IGID:miho0319kawahito)による旅に合うファッションコーデと、私の旅プロデュースとの姉妹コラボも今回のテーマの一つ。そしてこれからは、毎回旅気分が盛り上がるキャッチ―な曲も同時にご紹介。夢のように美しいギリシャの絶景と共に、ぜひぜひお楽しみ下さい!【旅行時期:3月末~4月上旬】

iphoneの方は記事を読みながら同時にyoutubeを開けないですが、好きなタイミングで聴いてみてください。

 

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朝起きると、心づくしの朝食が待っていた。

 

ヴィラ・レノスはこじんまりとしているが、アットホームなサービスや行き届いたホスピタリティを感じられる評判のホテルだ。

 

とりわけその朝食に定評がある。素朴だが真心のこもった朝食は、ありがちなビュッフェスタイルではなくゲスト一人ひとりのためにサントリーニの家庭料理が作られる。

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デザートのケーキに至るまで手作りで、朝からなんだかほっこりした気持ちになる。

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さて、本日はアテネ行の飛行機17:55まで時間があるため、現地ツアーを予約しておいた。グループツアーは4月上旬ではまだ催行していなかったため、専用車でのプライベートツアーだ。グループより割高だが、プライベートなので予め組まれた日程に限らずアレンジも融通がきくという利点がある。

 

www.mysantorini.com

 

今回は、フィラの中心部にあるペリカントラベルのツアーオフィスをスタートし、フィロステファニ、イア、ペリッサビーチ、そしていくつかあるワイナリーを訪ね、カルデラが見渡せるビューポイントなどを効率よく回ってもらった。

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サントリーニの朝は清々しい。夏本番になれば照り付ける太陽のもと、なるほど青と白のコントラストは涼しげに映るだろう。

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坂がちの白い小路を曲がると青いドームが現れ、そしてその先には濃紺のエーゲ海が果てしなく広がる。

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人もまばらな春のサントリーニは、何か昔読んだ絵本の世界にそのまま入り込んでしまったかのような非現実感が漂っている。

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ひっそりと佇む白い教会は写真を撮るのにピッタリで、母のレモンイエローのコートを引き立ててくれる。

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サントリーニでは火山灰で出来た独特の地質により良質なワインができる。島にはワイナリーがいくつもあり、今回はその一つを訪ねた。

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ツアーではサント・ワイナリーやワインミュージアムが定番だが、今回はサントリーニにあるワイナリーの中でも最も古いカヴァラス・ワイナリーへ。

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ここは300年もの歴史を持つ家族経営のワイナリーだ。冷やりとする貯蔵室、ワイン醸造の過程が分かる展示室などを抜けると中庭に出る。

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ここではワインのテイスティングをすることができ、サントリーニの土壌で育まれた豊潤な葡萄酒を味わうことができる。

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訪れたサントリーニ島のビーチは、ケファロニアやザキントスの白いビーチと違い、ブラックサンドビーチと呼ばれる黒砂の海岸である。印象としては、日本の砂浜に近いかもしれない。

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ところで、サントリーニ島は奇妙な三日月形をしている。まるで何かに切り取られたかのようだ。実は紀元前1600年、火山の爆発により丸い島の大部分が吹き飛び、三日月形の部分が残ったのである。

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吹き飛んだ部分はそのまま断崖絶壁となり、そこにまるで雪が積もるように、白とパステルカラー、そして青で彩られた夢のような街が造られた。

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一夜にして島を吹き飛ばした火山爆発は当時地中海世界に衝撃を与え、プラトンが著書に記述した幻のアトランティス大陸伝説の元となったのではないかといわれている。伝説のアトランティス大陸とは大西洋に浮かんでいたとされている島。そこには肥沃な土壌と、かつてないほど華やかに栄えた王国が存在していたという。しかし、世界の覇権を握ろうとした王国はゼウスの怒りに触れ一夜にして海に沈められたとされる。

 

この伝説には諸説あり、実際に大西洋にこのような島と文明が存在していたかは未だ謎である。しかし、海上に栄えた文明、そして一夜にして消え去ってしまった島、それは紛れもなくサントリーニ島にあてはまるものであり、幻のアトランティスはこの島であったのだという説がある。

 

紀元前3000年。エーゲ海に華々しく栄えたミノア(クレタ)文明は、ヨーロッパ最古の文明としてクレタ島で生まれた。しかし、この文明は1500年ほど経った頃、突如として謎の終焉を迎えることになる。その引き金となったのが同じエーゲ海に浮かぶ島であるサントリーニ島の火山爆発であったのだと言われている。

 

爆発前夜、華やかな文明の栄えた島は活気に溢れ、葡萄酒片手に人々は晩餐を楽しんでいたに違いない。神々の宿るとされた紺碧のエーゲ海はいつものように静かに島を包み込み、何事も無くまた一日が続いていくはずだった。しかし、突然に起こった爆発は一瞬にして何もかもを破壊し跡形もなく海に沈めてしまったのだった。当時の人々にとって、それは紛れもなくエーゲ海に宿る神々の怒りだと感じれられただろう。

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深い海に沈んでゆく島を眺めながら、最期に人々は何を思ったのであろうか。神々への怒りか、謝罪か、それとも感謝だったのか。偉大なるひとつの文明の終わりにしてはあまりにあっけない最期だったが、その儚さ故に今でもサントリーニ島にはただのリゾートというだけではない魅力が漂っている。

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あっという間のサントリーニ島滞在。機内から眺めるエーゲ海を目に焼き付け、明日はギリシャ旅のフィナーレ。アテネアクロポリスの丘へ登る。