クロアチア・スロベニアを経てギリシャのメテオラ、アテネを巡った一人旅も、日本から来た母と妹を加えて賑やかな3人旅に。スタイルアドバイザーとしてIGや雑誌、ウェブコンテンツを中心に独自のコーデ術を発信する妹(IGID:miho0319kawahito)による旅に合うファッションコーデと、私の旅プロデュースとの姉妹コラボも今回のテーマの一つ。ぜひぜひお楽しみ下さい!【旅行時期:3月末~4月上旬】
さて、本日の行先は、誰もが一度は憧れるあのエーゲ海に浮かぶ島、サントリーニ島である。
先にギリシャ入りをしていた私の旅はここで終わり、サントリーニへは母と妹2人で向かうこととなる。
昨夜はザキントスからアテネへ戻ったのが夜遅かったので初日に泊まっていた空港ホテル、ソフィテル・アテネエアポートへ予約を入れてあった。
前述したが、ここはターミナルまで徒歩3分。アテネ市内が空港から離れていることを考えると、トランジットや深夜早朝便を使う時にはかなり便利で快適なホテルである。
アテネからサントリーニへは空路約50分。機窓から眺めるエーゲ海は、イオニア海の明るい青と違って深い紺碧をしている。
そしてじきに、三日月型をしたエーゲ海の楽園、サントリーニ島へとランディングだ。
空港からホテルへは、ホテルに頼んでタクシーを回しておいてもらった。島内観光の拠点となるのはフィラの街、空港から15分程度である。
坂がちのフィラの街は、崖に張り付くようにしてホテルやカフェが並び立ち、それらは一様に真っ白だ。ところどころに教会の青いドームが見え隠れし、サントリーニ島独特のあの景観を生み出している。
海路で島に到着する場合は、灰色の断崖のてっぺんに密集する白い街が、まるで雪の積もったように見える。
ホテル・ヴィラレノスはそんなフィラの街のエーゲ海を見渡せる場所にあった。
サントリーニに滞在の場合、サンセットで有名なイアの街か島内最大のフィラの街に滞在するかで迷うかと思うが、もし夏のハイシーズンでない今回のような時期であればフィラの街に滞在することをオススメする。
イアもフィラもどちらも小さい街ではあるが、フィラの方が若干ショップやレストランの数も多く、島の他の場所に行くにも交通の便が良い。各種現地ツアーもフィラを拠点としている場合が多いのだ。
バスの本数やツアーの本数が減り開いているショップも少なくなるオフシーズンには、フィラに滞在しておいた方が便利である。
ハイシーズンの場合はイアに滞在し、絵葉書からそのまま抜け出してきたかのような、あの憧れの風景に自らを同化させてみるのも良いかもしれない。
ヴィラレノスは、家族経営の小さなホテル。サントリーニでの滞在は、ホストの顔が見えるこじんまりとしたホテルにこそ良さがある。
昼食はフィラの街にあるタベルナで。イカの丸ごとフライがなんとも美味。
午後はホテルでタクシーを頼み、島を回ることにした。
ピルゴス、イメロヴィグリといった小さな村々では、真っ白な建物に青のドーム、そして深い青をしたエーゲ海、、サントリーニといって誰もが思い浮かべる風景に出会うことができる。
観光客の少ないこの時期、白い街はより一層静謐さを増し、訪れた人を異世界へと誘う。
本日のファッションは、エーゲ海から吹き上げてくる風をイメージした爽やかなシャツスタイル。
妹は、白の風景に淡いカラーを合わせたくてラベンダーのシャツをセレクト。母はオールホワイトをベースに、サントリーニの街をイメージさせるホワイト×淡いブルーのシャツを合せて。
白と青という極めてシンプルな色遣いが作り出す風景は、単純なようでいて同じものは二つと無い。
そして、サントリーニで忘れてはならないのがサンセットである。
世界で最も美しい夕暮れの一つと言われるサントリーニのサンセットは、島の北端にあるイアの街で眺めるのが良い。
サンセットに合わせて、イアにあるエーゲ海ビューの人気レストラン、カストロへ予約を入れておいた。
4月初旬であれば18:30頃予約を入れてワイングラスでも傾け軽くアペリティフを楽しんでいれば丁度良い。
次第に夕暮れ時の趣を帯びて白から淡いピンク色に変わってゆくイアの街。
少し薄雲がかかっていたため太陽が海に沈む様子は見られなかったが、街の姿は刻一刻と変化し、夕陽はついに広大なエーゲ海の向こうへと消えてゆく。
3000 以上もの島々が存在するというエーゲ海。ヨーロッパとアジアが交差するその立地から、島々には紀元前3000年から既に高度な文明が誕生していた。
「ギリシャはエーゲの賜物」と言われるように、エーゲ海なくしてギリシャの文明は語れない。そして、今なお人々の間で生き続けるギリシャ神話は、エーゲ海を舞台としているものが非常に多いのである。
エーゲ海に浮かぶ島々でもとりわけ輝きを放つサントリーニ島は、まさに詩人ホメロスが「葡萄酒色の島」と称賛した楽園。
夕暮れ時のイアの街に身を置いていると、「神々の宿る葡萄酒色の島」という言葉がなるほどしっくりくるのである。
辺りがすっかり夜の闇に包まれた頃、ホテルへと戻った。