以前働いていた会社のツアーに両親が参加してきました。添乗をしたことのあるツアーとほぼ同日程なので今回は2人が旅したチェコ、スロバキア、ハンガリーの旅行記を代筆します。【旅行時期:10月初旬】
フルボカ城とチェスキークルムロフとの間に、チェスケーブジェヨビツェというビールで有名な小さな街がある。
早くから醸造が盛んだったこの街のビールは宮廷でも飲まれていた。
ビールの味自体に関係はないのだが、アメリカの銘柄バドワイザーのネーミングは実はここのビールが由来となっている。
ブジェヨビツェのビールがドイツに広がり、ドイツ語読みでブドヴァイゼルと呼ばれていた。それが英語読みされてバドワイザーのネーミングに繋がったのだという。
13世紀、ボヘミア国王プシェミスル・オタカル2世によって造られた街には彼の名のついた広場があり、色とりどりの建物が並んでいる。
チェスケーブジェヨビツェを発つと、バスは一気に北西へと走る。
いつの間にか、川が流れる風光明媚な渓谷地帯へとやって来ていた。ここは、ヨーロッパ屈指の美しい温泉保養地、カルロビバリである。
カルロビバリは渓谷にできた麗しい街だ。テプラ―川とオフジェ川の両岸には18~19世紀にできた壮麗な建物、そして数えきれないほどのカフェが並びヨーロッパらしい情緒を醸し出している。
ここは国際映画祭も開かれるだけあって、高級ホテルや華やかなブティックも目白押しだ。各国の著名人もこぞって通う。
カルロビバリというのはチェコ語で「カレルの源泉」という意味。かつてチェコ王カレル1世が、狩の途中でこの源泉を発見したのである。
温泉といっても、カルロビバリの温泉は入るというより飲むためのものが多い。
それぞれに異なった効能をもつ源泉が12もあり、各源泉を美しい装飾が施された回廊(コロナーダ)が繋いでいるのだ。
お陰で雨天でもゆったりと時間を過ごすことができる。
湯治客は、これらのコロナーダを伝って各源泉を回り、カルロビバリ名物、温泉ウエハースを片手にのんびりと時を過ごす。
源泉はそれぞれ味も効能も異なり、飲み比べてみると面白い。
ウジードロ源泉は、高さ12メートルも吹き上がる間欠泉で、その迫力には圧倒される。
街の終りには五つ星高級ホテルPUPPがある。この街にはかつて王侯貴族も訪れ、ドヴォルザークやモーツァルトなども通ったという。
華やかに飾られた街は、温泉保養地ならではの楽しげな雰囲気に満ちている。温泉以外に何があるわけでもないが、気付くと時間を忘れていつまでも留まってしまいそうになるカルロビバリである。
(夏季のカルロビバリ)
カルロビバリを出ると、スピードを上げバスはどんどん東へ走る。この旅のフィナーレにして最大のハイライト、プラハへはあと少しだ。
すっかり日が暮れドライブにも疲れて着た頃、バスはついにプラハ新市街に入った。
バスを降り、暖かな光が漏れる一軒の店へ向かう。窓からは店内の賑やかな様子が見てとれる。
プラハで最初の夕食は伝統のビアホールにて。チェコは言わずと知れたビール大国。一人あたりのビール消費量は世界一である。
大きな時計が目印の歴史あるチェコビールの老舗UFlekuだ。
Welcome to the Brewery and Restaurant U Fleků | Pivovar U Fleků - English
古めかしい扉から中へ入って行く。
楽しげに騒ぐ人々、忙しく働く店員、ビールグラスのぶつかる音、そこは本場のビアホールの熱気に包まれていた。
満席状態の店内。
ここで出すビールは、淡色ビールが流行りだす前の黒ビールだ。1499年に開店してから現在まで変わらず提供し続けている。UFlekuの黒ビール目当てに毎日多くの客がやって来る。
音楽隊も名物である。
メニューは素朴で伝統的なチェコ料理のみだが、黒ビールにはやはりこれが合う。
ほろ酔い気分でビアホールを出ると、すっかり夜の帳が降りていた。そのまま旧市街広場へと向かう。
路地を通り広場へと出ると、何度も写真で見たあの美しい夜のプラハがあった。この時期、旧市街のティーン教会はライトアップされ光のベールをまとっている。
今宵のホテルは、Raddison Blu alcron。プラハ旧市街から徒歩圏内にある快適な五つ星ホテルである。
ラディソン ブル アルクロン ホテル (チェコ プラハ) - Booking.com
明日はいよいよ丸一日、溜息の出るほど美しい街プラハを隈なく散策する。