以前働いていた会社のツアーに両親が参加してきました。添乗をしたことのあるツアーとほぼ同日程なので今回は2人が旅したチェコ、スロバキア、ハンガリーの旅行記を代筆します。【旅行時期:10月初旬】
小鳥のさえずりと川のせせらぎで目が覚める、まるで夢に描いたような朝だ。
昨夜から滞在しているのは、世界遺産に登録され「欧州で最も美しい街」と称されるチェスキークルムロフ。数ある美しい街の中でも上位に入る私のお気に入りだ。
ホテルmlynはこじんまりした田舎のホテルだが、何よりその立地が素晴らしい。世界遺産の旧市街真ん中、ヴルタヴァ(モルダウ)川の畔にあり旧市街の散策は思いのままだ。
冒頭で書いたように、静かなボヘミアの森の朝らしく小鳥や川のせせらぎで目覚めることができる。
ホテル ムリーン (チェコ チェスキー・クルムロフ) - Booking.com
「クルムロフ」というのは「曲がりくねった」という意味のドイツ語からきており、その名の通り街はヴルタヴァ川が曲がりくねったところに出来ている。
この街は、城の支配者が移り変わるにつれ徐々に衰退していき、近代化の波から取り残されていった。幸か不幸か、この街が森の中で中世そのままの姿を留めているのはそのお陰であったのかもしれない。
本日は、まずこの絵本の世界のような美しい街を歩いて散策する。
チェスキークルムロフの美しさは、朝の時間帯に一層引き立つ。
清々しい空気、ほとばしる川の流れ、木々を揺らす朝の陽光。朝の旧市街は心が洗われるような爽快感に溢れている。
そんな麗らかな街の小道を歩き、まず向かったのは川の向こうに聳えるチェスキークルムロフ城。
チェコでは、プラハ城の次に大きな規模をもつと言われ、時代時代の支配者により増改築を繰り返された壮大な城である。
城は断崖のてっぺんにあり、お陰で城からの眺めは抜群だ。
赤茶屋根の家々がおもちゃのように集まっている。
城には幾つか中庭があり、そのひとつから内部へ入っていく。
内部は写真撮影禁止なので写真は無いが、城の中は複雑に入り組み、見応え十分である。State Castle Český Krumlov
13世紀に城は建築され、その後14世紀~16世紀の間、この街を最も華やかに繁栄させたローゼンベルク家の持ち物となる。
以降エッゲンベルク家、そしてシュヴァルツェンベルク家へと支配は移って行くが、ボヘミア一帯の有力貴族であるシュヴァルツェンベルク家の人々は近辺にいくつも城を所有しており、このチェスキークルムロフ城を居城とすることはなく、街とともに城も次第に忘れ去られてゆく。
その間も城主の好みで城は増改築を繰り返し、壮大で複雑怪奇な姿へと変貌していった。
城の塔からの眺めは、言葉を失うほどに素晴らしい。古い街並みとボヘミアの美しい自然が一体となって造り上げるこの景色、そこに流れる空気までが輝いて見える。
城をあとにすると、今度は旧市街の散策へと向かう。
旧市街の中心には、明るい雰囲気のスヴォルノスティ広場がある。ここを中心にいくつか伸びる小路を歩いてゆけば、街の魅力をたっぷり堪能することができる。
この街のショーウィンドウは個性的なものが多い。
操り人形の店。
ジンジャーブレッドの店。
リングドーナツようなお菓子の店。
雑貨屋。
こちらは操り人形ミュージアム。
レストラン。
広場から小路を少し入って坂を上がったところに、五つ星ホテル、Hotel Ruzeがある。
ホテル ルゼ (チェコ チェスキー・クルムロフ) - Booking.com
かつてイエズス会修道院として建てられた建物は、壁面を前回述べたスグラフィット技法で装飾されている。
この、Ruzeの前にある広場からの風景がまた絶景なのである。
先ほどのチェスキークルムロフ城や城の塔が見える。
くねくねと曲がる細い路地を歩き回ると、どこを見てもフォトジェニックな風景に溢れている。
この街にはまた、川のある風景がよく似合う。
思いの他勢いよく流れるヴルタヴァ川の流れ。チェコ最大の長さを誇るヴルタヴァ川は、南はドナウ川へ、北はプラハを通りエルベ川へ合流する。
川の流れはその長さのように、時代を越えてこの街を見守り続けてきた。この小さな美しい街がいつまでもそうであり続けるように、川の流れを眺めながら密かに願った。
⑥日目後篇では、チェスキークルムロフを出て美しい白亜の城や牧歌的な村を訪れる。