今回の旅のテーマは珠玉の田舎町めぐり。フランスはトゥールーズへ入り、南西部の最も美しい村に登録される村々を巡ります。後半はマドリードへ飛んでスペイン、アンダルシア地方の田舎町で馬に乗り野山を駆けます。【旅行時期:11月中旬】
旅先では早朝散歩に出かけることにしている。できれば朝食の前が良い。
おそらく添乗中、早朝下見に行っていた習慣のせいなのだろう。
夜は国によっては危険な場合があるので、添乗中はたいてい4時頃起きて6時半~7時の朝食に間に合うよう、そしてお客さん達が活動する前に下見を終えて帰ってきていた。
朝は眠くてしんどいが、早朝は早朝で色々な発見があるし、何より観光客がほとんどいないので街本来の姿が見られるのが良い。
マドリード行の飛行機まで時間があったのでこの日も早朝トゥールーズの街を見て歩くことにした。
相変わらずカメラが動かないので写真は携帯で。
ホテルは抜群の立地だったのでどこに行くにも徒歩圏内。個人旅行のホテルは何より立地に拘るべきだ。
といってもトゥールーズの街はとりたてて派手な見どころがあるというわけではないので、とりあえずぶらぶらしてみることにした。
ホテルの外に出ると、石畳の通りはしっとりと濡れていた。夜のうちに雨が降ったのだろう。
ヨーロッパの旧市街に必ずある広場には、カフェが軒を連ねている。
広場から無数に出ている細い路地を無作為に選んで歩いてみる。
早朝の風は湿り気のある空気を運んで、路地裏をゆっくりと吹いてくる。
旧市街を抜けるといつの間にか川岸に出た。
ガロンヌ川にかかる橋を渡ってみる。
トゥールーズはエアバスの工場があることで有名で、航空産業が盛んだ。
また、人口の3割を学生が占めるという学生都市。学校もたくさんある。
フェルマーの定理で有名なピエール・ド・フェルマーはトゥールーズ近郊の生まれであって、たまたま通りかかった大学に彼の名前を発見した。
キャピトル広場に戻ってきて適当なカフェに入った。
クロックムッシュを食べたかったのだが置いていないということなので、ショコラショーを飲みながらしばし読書に耽ってみたりする。
*
冷えた身体の隅々まで、たちまち温かいショコラショーが行き渡る。
こうして朝の時間を堪能してから、午後はいよいよスペイン入りとなる。
空港までは再びJ氏に迎えに来てもらった。
実は昨夜別れ際に、翌日も迎えにきてくれるようにお願いしておいたのだ。
当初はバスを使って空港に行こうと思っていたし、現地会社を通してJ氏を契約していたのは村巡りの一日だけだったのだが、J氏があまりに親切で気の利いたドライバーだったのでふと空港送迎も頼んでも良いかもと思ったのだ。
スーツケースもあるし送迎はやはり便利でもある。
フランス、トゥールーズからスペイン、マドリードへはLCCのeasyjetで40€ほど。
ヨーロッパのLCCは安くて気軽に乗れるところが良い。 席は自由席だ。
車のクラクション、足早の人々。
マドリードはさすがスペインの首都だけあって都会だ。
空港にはタクシーが大量に屯しているのでそれに乗った。
スペインのタクシーは白地に赤の線の入ったものが政府公認タクシーと決まっていて ボったくられる心配もなく分かりやすい。
スペイン初日のホテルは「ウサ・プリンセサホテル」。
ホテル ウサ プリンセサ - (Moncloa - Arguelles, Spain) | エクスペディア
まず、申し分のない立地。
地下鉄まで徒歩2分、中心部駅まで2~3駅。
ホテルと繋がるようにして、スペインの大手デパート、エル・コルテ・イングレスがあり ホテルすぐ隣にスタバがある。
そして、部屋の広さ。
40平米は軽くある広々とした客室。
日本のビジネス~中級ホテルが平均10平米程度、高級ホテルでもスタンダードな客室だと20平米くらの部屋もざらにあること を考えるとかなりゆったりしている。
しかもバスタブありのシャワー室あり、トイレも区切られている。
こんなに良い条件がそろっていて、一泊70~80€台なのだ。
東京のアパホテルと同じくらいの値段だと思うとはるかにこちらの方が良い。
いくらでも安宿はあるのだが、やはり女一人ということとマドリードは治安が心配だったのとで万全を期して立地の良い大型のホテルを探していた。
そうなると予算もある程度は覚悟していたのだが、ここまでコスパの良い理想のホテルはなかなか無い。
チェックインを済ませ、まず私が向かったところは・・・
もちろんデパートの電化製品館。カメラを買うためである。
あれからマイカメラは完全に壊れてしまった。もう何をどうしてもピクリとも動かない。
携帯カメラでは旅の感動を伝えるには不十分。
となると買うしかない。
マドリードの大手電化製品店ならば日本製のカメラも揃っているだろうと踏んだのだ。
ホテルのコンシェルジュに聞くと、案の定日本製のカメラもたくさん売っているとのこと。
店はかなり大きく、品ぞろえも豊富そうだ。入口では売り子のおじさんが威勢の良い声を張り上げている。
日本ならビッグカメラあたりにいるハッピを着てメガホンで大声を出しているおじさんといったところだ。
カメラは地下フロアにあった。
売り場にはたくさんのカメラが並んでいたが、日本製カメラはその中で燦々と輝いていた。
ところが、日本ではたいてい並んでいるカメラで試し撮りができるのだが、ここのカメラはどれもバッテリーが抜かれており試すことはおろか、画面を見ることもできない。
画面の表示や操作性を見るためにもバッテリーが抜かれていては話にならないのだが。
けれどスペイン人の店員は、「バッテリーは入れられない」の一辺倒。
まあ、仕方がない。
さんざんカメラを眺めた結果、J氏に借りたFUJIFILMのコンデジがあったのでこれに決めることにした。
最低限日本語表記に変えることができるかということだけは店員に確認して、思い切って購入した。
ところが案外使い勝手が良かった。
カメラ選びですっかり疲れてしまった私は、レストランに行く気力が無くなった。
夕食は隣のスタバでカフェオレとサンドイッチを食べて済ませることにした。
その後イングレスの地下食料品売り場を冷やかしに行く。
寿司らしきものを発見。
エスカルゴもこうなると不気味だ。
さすがスペイン。生ハム売り場の充実ぶりったら無い。
こちらもスペインならでは。フリーズドライのパエリアだ。
果物はほとんどが10個単位で売っているのでなかなか適当なものを見つけられない。
やっとの思いで探し出したオレンジとバナナを買って部屋に帰った。
明日からはスペイン部分で最も楽しみにしている、アンダルシア地方の小さな田舎町、ロンダでの滞在だ。