元添乗員の国外逃亡旅行記

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イタリア・モロッコ迷宮逍遥 ⑤ ~青の街シャウエン~

ミラノから入り、魅惑のモロッコへ。迷宮都市フェズで迷路を彷徨い、モロッコ料理教室へも参加。シャウエンでは青の街に魅せられ、後半は路地裏逍遥を楽しむべくヴェネチアへショートトリップ。【旅行時期:3月末】

 

 

 

今日はいよいよ、一度は訪れてみたかった青の街シャウエンへ。

 

早朝7時にはバスターミナルへ。

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バスターミナルは早朝にもかかわらず既に食べ物を売る店が開き、郊外へ向かう人々で賑わっていた。

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イスラムの朝の礼拝時間を知らせるアザーンという独特な節回しの旋律が流れ、イスラムの国に来たことを実感する。

 

出発まで時間があったのでカテリーナさんが持たせてくれたパンとジュースを食べながら待つ。

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時間が来たら呼んでくれるというが、いい加減かと思っていたバスの時間は思いの外正確で驚いた。

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時間ぴったりに現れた大型バスに乗り込み、いざシャウエンへ片道4時間のバス旅に出発だ。

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天気も上々、バスはフェズを後に北へ向かって走って行く。

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噂に聞いていた通りのひどい揺れで体勢を維持しているだけでやっとだったが、酔い止めのお陰で気分が悪くなることもなくシャウエンへ到着した。

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シャウエンはフェズよりもだいぶ標高が高い。

 

山の中腹にある坂の街で、バスが近づくにつれ街全体がぼんやり青に色づいているのが分かる。

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バスは、街から1キロほど下ったところにあるターミナルにゆっくりと停まった。

 

 

ひどい揺れにげんなりしていた乗客たちは、次々にバスを降りてゆく。

 

バスのステップを降り立つと、山間をぬって吹く風が清々しく頬を撫でた。

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さて、ここからお目当ての青い世界が広がる旧市街までは、びっくりするほど急勾配の坂道を1キロほど登らなければならない。

 

しかし、春先の山の斜面には早くも小さな花が咲き、陽光を浴びてパステルカラーの家々が並ぶ風景はなんとなく楽しげで、坂のことなどほとんど気にならない。

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道がようやく平坦になるところがシャウエンのメインストリート。この辺りになるとブルーの建物が目立つようになる。 

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メインストリートをどんつきまで進んだところに口を開けているのが旧市街、青の世界への入口だ。

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ここを潜ると、それはもう、神秘的な青が広がっている。

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まるで深海のよう。

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奥へと引き込まれそうな深い青のトンネル。

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どこまでも青い。

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地面まで青く塗られている路地は、その先行き止まりだという意味。

 

青の理由には諸説あるが、レコンキスタによりこの地にやってきたユダヤ人たちが、ユダヤのシンボルカラーである青に街を塗ったのが始まりだという説が有力だ。

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カフェの門構えもやはり青を基調としていてデザインとしても可愛いものばかりだ。

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鮮やかな青にカラフルなモロッコの雑貨はよく映える。

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一口に青といっても様々な濃度の、様々な色調の青がある。

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ほんのすこし路地裏に入り込むだけで、ひっそりとした紺碧の世界に出会える。 

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ついつい窓の奥を覗いてみたくなる。

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小さく開いた穴のような小窓の奥には蝋燭が灯っている。

 

中にはどんな世界が繰り広げられているのか、想像するほどに興味が湧く。

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シャウエンという街は、実は麻薬の密売などドラッグの街としての怪しい一面も持っている。

 

そう言われれば、この深い青にずっと囲まれていると何となくどこかに引き込まれていってしまいそうな危うさを感じることがある。

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それが余計にミステリアスさを醸し出していて、同時にまたこの街の不思議な魅力の一つなのかもしれない。

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一転して、広場には色とりどりのカフェが軒を連ね楽しげな雰囲気だ。

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奇妙なおじさんが日陰で休んでいた。

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オープンカフェやレストランが並んでいたのでこの辺りでランチに。

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私はオープンカフェというものが好きだ。

 

とりわけ、海外ではオープンエアの店に惹かれる。

 

ふと気を抜いたカフェでの一瞬に、道行く人だったり、その土地の空気だったりを、より身近に感じられるのがオープンエアの空間だと思うからだ。

 

ひよこ豆のモロッカンスープ。そして空っぽの胃に沁み渡るミントティー。オリーブの酢漬けはおまけ。

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ポテトとチーズの入ったオムレツ。心地よい風の吹くオープンカフェでの食事はやはり気分が良い。

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時間はたっぷりあるのでしばしボーっとする。

 

つくづく、色彩の豊かな街だ。

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最後にまたミントティーとクッキーでお茶をする。居心地の良いカフェだった。

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18時発の最終バスでフェズへ帰る。

 

 

リヤド到着はおそらく深夜0時頃になるだろう。外には雨も降ってきた。

 

 

相変わらずの揺れだ。

 

 

お尻にひどい振動を感じながら、またひとつお気に入りの街ができたと思った。

 

 

 

 

 

 

リヤドへ戻ったのはやはり0時近かった。3時間後にはもうリヤドを出て空港へ向かわねばならない。

 

リヤドで過ごす最後の夜だ。

 

月明かりの中リヤドの小さな木戸をノックすると、ファミリーのマイクさん、カテリーナさん、エロディーちゃんが起きて待っていてくれた。

 

 

なんだか帰る家ができたみたいで温かい気持ちになる。

 

 

 

やはり人と触れ合う旅が楽しい。

 

 

今回は本当にこじんまりとした宿で、現地のお宅にお邪魔しているような感覚。

 

 

それだけにゲストとホストファミリーとの距離も近く、彼らのホスピタリティーや人間本来の温もりというものをダイレクトに感じることができる。

 

 

設備の整った豪華な大型ホテルも良いかもしれないが、ここにはここでしか味わえないものがある。

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迷宮のようなメディナの夜、物音ひとつしないリヤドの中にいると、まるで母親の胎内で守られているような温もりを感じた。