元添乗員の国外逃亡旅行記

BUY THE TICKET. TAKE THE RIDE.

イタリア・モロッコ迷宮逍遥 ③ ~ミラノ・フェズ~

ミラノから入り、魅惑のモロッコへ。迷宮都市フェズで迷路を彷徨い、モロッコ料理教室へも参加。シャウエンでは青の街に魅せられ、後半は路地裏逍遥を楽しむべくヴェネチアへショートトリップ。【旅行時期:3月末】

 

 

ミラノの朝。

 

アパートの天窓からは柔らかい陽の光が差し込んでいる。

 

ここには食器もティーバッグも揃っているので、まずはキッチンで湯を沸かしハーブティーを飲むことにした。

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今日は午前中ミラノを散策して、午後にはモロッコへ発つ。

 

静かな部屋でお茶を飲みながら計画を練っていると、例えようもない幸福感が漲ってくる。

 

まずは、ミラノにおけるルネッサンス期最大の建築物として名高いサンタ・マリア・デ・レ・グラツィエ教会へ。

 

ツーリストの強い味方、乗り放題チケットを買ってメトロで向かう。

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ダメもとで教会併設の修道院の食堂に飾られているダヴィンチの最高傑作「最後の晩餐」を予約無しで見に行くが、やはり当日券はソールドアウト。

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せめて教会内部を見て帰る。

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良さそうなカフェを見つけて、朝食がてら立ち寄ることにした。

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店内は明るくて、小奇麗だけれどモダン過ぎず、居心地が良い。この時間は通勤途中のミラネーゼたちでカフェはどこも活気づく。 

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ドゥオモ周辺に戻ると、レトロな店構えのカフェを見つけて思わず梯子してしまった。

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重厚なカウンターはいつの時代もミラノ親父たちの社交場であり続けてきた。

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おはよう、仕事はどうかい。

なあに、いつもと同じさ。

常連客同士のそんな会話が聞こえてきそうである。

 

 

 

 

 

 ターミナルに響く搭乗アナウンスが聞こえると無条件に胸が高鳴る。

 

各国の空港ほど私を興奮させるものは無いかもしれない。

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いよいよ旅のメイン、モロッコへ発つ時だ。

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モロッコの玄関口、カサブランカへのフライトは3時間程度。そこで国内線に乗継ぎ、憬れの地フェズまでは1時間弱。

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カサブランカでの4時間のトランジット時間をやり過ごし、ようやくフェズへ着いたのは夜遅く23時頃であった。

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フェズ、サイス空港。

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最終便であるからか乗客は数えるほどしかおらず、皆眠そうな目をこすっている。

 

 

ガランとした空港には申し訳程度に入国審査ゲートがあり、簡単なチェックの後荷物を取ってすぐに外に出た。

 

この日は深夜ということもあり、宿泊予定の宿から迎えを頼んでおいた。待合せの瞬間は、いつもちょっとドキドキする。

 

 

薄暗い到着ロビーの出口には、乗客の迎えにプラカードを持った数名のモロッコ人たちが待機していた。

 

 

しばらくして、MAMI FUJII と書かれた紙を持った男性が手を振ってきた。

 

 

 これが、後々大活躍してくれることとなる敏腕ドライバー、リデュアンとのファーストコンタクトだ。

 

空港から旧市街まで30分ほどの道のり、深夜なのに妙に目は冴えている。

 

フェズのことや宿のことをぽつぽつ喋りながら乗っていると、あっという間に到着した。

 

エンジンを切った車を降りると、辺りは全くの静寂と、漆黒のような闇に包まれていた。

 

今日からお世話になる宿は、世界一の迷宮都市として名高いフェズの旧市街(メディナ)にある。

 

 

かろうじて灯っている街灯を頼りに歩くと、メディナをぐるりと取り囲む城壁の脇にある小さな門に辿り着いた。

 

 

 一歩足を踏み入れると、そこは聞きしに勝る迷路ぶり。

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数十メートルも進めば完全に方向感覚を失ってしまう。やはり迎えを頼んでおいて正解だ。

 

 

袋小路の一角にある何の変哲もない小さな扉。中に入ると別世界である。

 

 

これが、フェズのメディナに泊まる醍醐味でもある。

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リヤドと呼ばれる宿はモロッコの伝統的な邸宅を宿泊用に改装したもので、いわゆる民家なのでこじんまりしているところが殆どだ。今回のリヤドも全部で5部屋しかない。

 

しかし、アフリカの土壁民家という響きからくるイメージとはかけ離れた不思議な快適さがリヤドにはある。

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まだまだ肌寒いフェズの夜。暖色系の照明が心地良く灯り、暖かく整えられた部屋のテーブルには何やら美味しそうなお菓子が用意されていた。

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熱々のシャワーを浴びてパジャマに着替えた頃には深夜1時をまわっていた。

 

ミラノよりも異国に来たという感じが強い。

 

ここには車も無ければ24時間開いているコンビニ、ネオン輝く繁華街も無い。

 

当然のように人々は暗くなれば寝静まり、メディナは本物の静寂に包まれる。

 

深い深い眠りに就いた迷宮の中、静寂に包まれた仄暗いリヤドの部屋にじっとしていると、なぜだか不思議なほどの安心感を感じた。

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